8月のある日、韓国木浦共生園の卒園生が自動車事故で亡くなったという知らせが入った。
児童養護施設で育った子どもたちには親がいる場合もあるが、亡くなった李ジヒョク君は31歳で親族は誰もいない。幸い彼が通っていた教会で葬儀の準備を進めているという連絡だった。
死亡届など葬儀の手続きは共生園の職員たちがすすめ、葬儀は故人が通っていた信奉中央教会でキム・ギョンス牧師ご夫婦とチョン・エラ園長が務めた。
早朝7時20分、棺は火葬場に行く前に共生園に立ち寄り、子どもたちと職員たちの祈りに護られて送ることができたと言う。
父・尹致浩(ユン・チホ)と母・田内千鶴子を思い出した。
父・尹致浩は旅の途中で病気になったホームレスの老人に出逢った時、宿に連れて帰り一晩寝かせた。
ところが、翌日亡くなってしまった。
父は棺を用意して、名前も知らないその人のために静かなところにお墓を作り、「尹致浩の父の墓」と書いて葬った。
母・田内千鶴子は、戦争孤児が増えていく中、栄養失調で亡くなっていく子どもを横に寝かせて一晩一緒に過ごした。
児童文学者・尹石重先生は、生前私にこのような歌を寄せてくださった。
お父さんのお父さんのお父さんは誰でしょう。
お母さんのお母さんのお母さんは誰でしょう。
遡って見れば、我らの先祖は一つ。
親がいない人を孤児というなら、親がいない大人も孤児ではないでしょうか。
共生の道を開拓していくと、地球村は一つの家族であることがわかるでしょう。
社会福祉法人こころの家族 尹基(Tauchi Motoi) 2024年9月1日