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   母と子のコミュニケーション E

ソーシャルワーカー 尹基
社会福祉法人 こころの家族理事長

 

 母はいつも私にとって遥かな存在だった。

 子どもの頃、私は孤児たちと一緒に育てられた。もちん、私だけではなく妹も弟も同じだった。孤児たちと分け隔てなく育てられたということは、他人から見れば、なかなか誰にもできることではない。立派なことだ、という感想が生まれてこよう。しかし当のこどもである私の立場に立ってみると、そうとは受け取れなかった。
 我が子であるはずの私に、母の目が注がれることがないと感じた私は、時には母を恨んだ。反抗もした。密かに尊敬していた父にさえ、忽然と姿を消してしまったことが勝手なことに思えて、腹立たしく、責める気持ちが湧いた。
 私は学校の友たちのように、私だけに注がれる愛情のこもった視線がほしかったし、おやつというものもたべてみたかった。親子だけの対話、家族の団らんというものも味わってみたかったのである。だが、それはかなえられることはなかった。人並みの親の愛を求めた私には、孤児たちからひと時たりとも離れたことのない母が、心のふれあう距離には程遠く、遥かな存在に思われたのである。
 中央神学校で社会事業を専攻して、私は母を手伝う形で、一緒に未知の母の国である日本を訪ねた。当然、母とはいろいろ話し合った。大人の親子同士、心も通じ合った。しかし、やはり依然として、母は私の理解を超える遥かな存在だった。

2016年9月1日 



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