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   母と子のコミュニケーション D

ソーシャルワーカー 尹基
社会福祉法人 こころの家族理事長

 

 母が体の変調を感じながら単身日本に出向いた時のことである。
母はついに耐え切れず、倒れ込むようにして病院の門をくぐった。入院治療を進める医師から逃げることだけを考える母。子として最善の治療を受けさせたいと願い、日本での治療を切望した私に、哀願するようにして言った母の言葉が忘れられない。

  「日本は治療費が高い。私に使うお金があったら、共生園の子供たちの教育費に使ってほしい。」自分の命と引き換えになりそうなお金を、園の子供たちの入学金に活かしてほしいという母の心が、若い私には到底理解できなかった。

 そういう意味で、母は遠い存在だった。ただ、幸いというべきだろうか、母が癌という恐るべき病に倒れた時から、私はほぼ一年間、母に付き添って過ごす幸運を得た。恩師から母が危篤との手紙が届き、東京からソウルの入院先に駆けつけた私に、あの母が、「基、あなたが来てくれて助かった。」と言って迎えてくれた。この時から死を迎えるまでの一年間は、母にとっては、初めて母の愛情をはばかることなく示した一瞬であった。

 息子である私は、この時ほど、母を身近に、大切に、いとおしいと感じたことはない。 この一年間、母を看病できた事を私は感謝している。

2016年7月1日 



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