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   母と子のコミュニケーション @

ソーシャルワーカー 尹基
社会福祉法人 こころの家族理事長

 

 このところ、生活は便利になったが、夫婦のコミュニケーション、親子のコミュニケーション、隣人とのコミュニケーションが弱まっている。
 子どもを育てることも、人との付き合いも、国と国との関係もコミュニケーションが大切である。

 私の母、田内千鶴子は静かで、「こうしなさい」と言ったことがなかった。
だが、独り言のようにいった言葉が、今も、私の心の中に生きている。

  「共生園の子どもたちが100人未満だったらいいのに」
  私が捕ってきた「いなご」をフライパンにかけながら、子どもたちが100人未満だったら料理を作ってあげられるのにと、ため息をしていたあなた。
 それは、500人の戦争孤児を抱えていた母の嘆き声だった。

 「海の向こうに高知が見える」
 学校から帰ってみると、母は一通の手紙を手に、目を赤くはらしていた。東シナ海に沈む夕日を見ながら、「海の向こうに高知が見える」と言った。私には、夕日に染まる海と島、そして2隻の船が見えるだけなのに。

手紙には、たったひとりの肉親の祖母が、高知県立老人ホーム『千松園』にお世話になったと書かれていた。二つの国に分かれて住む運命に、あなたは泣いていた。

 「基、あなたが見えない」
 視力も弱まり、「基、あなたが見えない」と母は泣いた。
「何も食べていないからだよ。元気になったら見えるから」と、私は母の頬に頬をくっつけた。
 私の手を強く握り返したあなたの手の温もりが、今も忘れられない。

15年11月1日 



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