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    世の中で一番美しい旅

ソーシャルワーカー 尹基
社会福祉法人 こころの家族理事長

  80年代、親を喜ばせる親孝行の旅が韓国ではやった。息子は親にバス旅行を、娘は飛行機旅行をプレゼントするという面白い話も生まれた。
  韓国人は親孝行であるという誇りを持っているが、この世で一番美しい親孝行の話を紹介したい。

  中国黒龍省に住む王さんは、世界の屋根、空と一番近い所に行ってみたいと言う母の願いを叶えようと、リヤカーに改造した自転車に母を乗せて一心にペダルを踏んだ。行き先は、「一生に一度は行ってみたいところ」と、中国で言われているチベットの西蔵。99歳の母を74歳の息子が乗せて、900 日の長旅に出た。中国最北端からチベットまで3万キロ、この世で最後の母と息子の旅だ。

  息子が疲れるのを案じた母は「ゆっくり、ゆっくり」と言いながら笑顔を見せた。途中、身体の不調を訴える母は病院の世話になったり、野宿もした。路地で食事をとり、川で洗濯しながら、息子と母は旅を続けた。   ところが、103歳の誕生日を前に、母は息を引き取った。息子に、死の間際に「私の人生で900日間は、幸せの瞬間だった」と言いながら‥‥。

  母が行きたいと願っていた空に一番近いところまで息子は走り、母の遺骨を空に撒いた。老いた息子のほほに母の粉骨がはらはらと舞い落ちる。最後まで息子は母に寄り添った。

  この話は、親を大切にする気持ちが弱くなっている現代社会への、ひとつのメッセージだ。900日は無理でも、いま、私たちができることはなんだろう、と問いかけてくれる。長生きするのはうれしいが、つらくて淋しいことも多い。

  どうすれば幸せな時間をつくってあげることができるか。
  いま、私たちができることをしたい。

2015年9月1日 



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