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「故郷の家」は東アジアのGNH |
ソーシャルワーカー 尹基
社会福祉法人 こころの家族理事長 |
8月という月は、人類史上で最大の争いが終わった記
念日があり、平和への思いをはせる季節です。
しかし、今年の夏はベクトルが逆の方向へ向かったよ
うな感じがします。争いはその気になれば、なんでも材料になるし、感情論に基づけば、いくらでもエスカレー
トします。
心痛む光景を前に、昨年、日本を訪れたヒマラヤの幸福の国・ブータンのワンチェク国王夫妻の姿がまぶたに浮かびました。
若き国王夫妻は、見ているだけで私たちを幸せにしました。その理由は、さわやかな姿勢だけではなく、その生き方の基本にあるGNH(国民総幸福)というブータ
ン独自の考え方への共感があるからでしょう。
私が注目したのは「ブータンは幸福を達成した国で
はなく、他の途上国と同じようにもがいている」と述べた同国のティンレイ首相の言葉です。
ブータンの追求する幸福とは、政治家が我田引水の宣伝に使うような、見せかけの成果を誇る指標ではない、ということを言いたいのでしょう。
日韓のお年寄りが共に暮らす「故郷の家」も、皆さんが見ているだけで幸せを感じてもらえるような場所にすることを目標にしてきました。
母、田内千鶴子が身をもって実践した「共生」をめざす必要性を、より強く感じます。
「故郷の家」が、せめて東アジアのGNHの指標になればと思います。皆さまのご支援を心より願います。
2012年9月1日
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